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中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*; 實川 資朗
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part2), p.1436 - 1440, 2002/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.15(Materials Science, Multidisciplinary)本研究ではリチウムシリケイトからのトリチウム放出に関する基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いてリチウムシリケイトとAl添加リチウムシリケイトの表面水酸基とHの同位体交換反応について調べた。計算はGaussian98を用いてHF/3-21G, HF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。HSiOHをシリケイトガラスにおける表面水酸基のモデルとして、HSi(OH)Al(H)OSiH はAlを含んでいるシリカガラスの表面水酸基のモデルとして選んだ。各クラスターとH2の交換反応に対して計算されたHF/6-31G**活性化エネルギーはそれぞれ88.1と42.7kcal/molである。活性化エネルギーのこのような減少はAl原子の相互作用に起因した表面水酸基の電荷の変化と関連している。各原子の電荷をMulliken population解析によって求めた。その結果、表面水素原子のイオン性が表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用によって増加していた。他の理論レベルにおいても同様の結果が得られた。得られた計算結果はAl原子の相互作用によってリチウムシリケイトの表面水酸基とHの交換反応がより低い温度で行われることを示唆している。
鈴木 覚; 佐藤 治夫; 石寺 孝充; 藤井 直樹*; 河村 雄行*
JNC TN8400 2001-031, 44 Pages, 2002/05
圧縮ベントナイト中における重水の実効拡散係数の活性化エネルギーを取得するために、温度298-333Kの条件下で透過拡散試験を行った。クニピアFベントナイトを圧縮成型(乾燥密度0.9および1.35Mg/m3)すると、スメクタイト粒子が圧縮方向に垂直に選択的配向性を示す。そこで、配向方向に平行な方向と垂直な方向のそれぞれの拡散方向について拡散試験を行った。重水の実効拡散係数は異方的であり、その乾燥密度に対する変化はトリチウム水の結果と調和的であった。また、実効拡散係数の活性化エネルギーは、19-25kJ/mol程度であり、バルク水中の重水の拡散の活性化エネルギー(18kJ/mol)よりもやや大きな値であった。スメクタイト-水混合物の分子動力学シミュレーションにより、水分子の活性化エネルギーの間隙水中における空間分布を計算したところ、スメクタイト表面近傍(2nm以内)の水の活性化エネルギー(18-23kJ/mol)は、沖合のそれ(16kJ/mol)に比べ大きかった。拡散経路の乾燥密度に対する変化を考慮すると、シミュレーションの結果は、乾燥密度とともに活性化エネルギーが増加することを示しており、拡散試験の結果をよく再現していた。
中沢 哲也; 横山 啓一; Grismanovs, V.*; 片野 吉男*
Journal of Nuclear Materials, 297(1), p.69 - 76, 2001/07
被引用回数:9 パーセンタイル:56.08(Materials Science, Multidisciplinary)本研究ではシリカ,シリケイト化合物などの1対の表面水酸基がHO分子を生成して脱離する反応プロセスについて基礎的な知見を得るために非経験的分子軌道計算を用いて調べた。特に、表面水酸基に対するAl原子の直接の相互作用がこの反応に及ぼす影響に関して検討を行った。計算はGaussian98を用いてHF/6-31G**, MP2/6-31G**の理論レベルで行った。表面水酸基におけるHO分子の生成・脱離反応経路に関するエネルギープロフィールを計算により求めた。その結果、表面水酸基に対するAl(OH)ユニットの相互作用によってHO分子の生成や脱離に必要な活性化エネルギーは低下することがわかった。この活性化エネルギーの低下はAl(OH)ユニットの表面水酸基への相互作用による構造変数と電荷分布の変化と密接に関係している。
二口 克人*; 橋本 秀爾*; 桜本 勇治*; 三ツ井 誠一郎; 亀井 玄人
JNC TN8400 2001-007, 52 Pages, 2001/04
熱によるベントナイトのイライト化のナチュラルアナログとして新潟県西頚城地域における第三紀の泥岩とこれに貫入する第四紀の火成岩(ひん岩)を対象に、この貫入岩周辺の粘土鉱物の変化と、貫入岩及びその周辺の熱履歴について検討した。その結果、泥岩中有の主な粘土鉱物は貫入岩に近づくにつれてモンモリロナイトイライト/モンモリロナイト混合層鉱物イライトと変化することが明らかとなった。また貫入岩の冷却史に基づく周辺泥岩の熱的解析の結果、イライト割合75%の条件として、270から15まで冷却するのに約75万年要したことが明らかとなった。モンモリロナイトからイライトへの反応を一次反応としてその活性化エネルギーを求めると、約103kJ/molの値を得た。この値は、従来の天然事例の調査や室内試験において得られている値の範囲にある。
金 善永
JNC TN8400 2001-008, 36 Pages, 2001/03
高レベル放射性廃棄物を地層処分する際に、多くの国では緩衝材としてベントナイトが候補材料として考えられている。特に近年は、地層処分にセメント系材料の使用が考えられている。セメント系材料からの浸出液はpHが高く、Ca、Na、Kなどの濃度が高いために、緩衝材や周辺岩盤を変質させると考えられる。この反応は、処分場が地下深い所に位置する場合、地熱や放射性廃棄物からの熱、圧力、地下水などの反応によって、さらに激しい変質を受けると考えられる。このような場合、緩衝材としての膨潤性、地下水の侵入防止、核種元素の移行遅延などの性能は、低下することが懸念される。今回は、高pH溶液に対する緩衝材構成鉱物間の影響を調べるために、緩衝材の主な構成鉱物であるモンモリロナイト、長石(曹長石)、石英を選定し、これらを一定比率に混合させて、蒸留水やpH1113溶液との反応を調べた。試験温度は50150であり、反応期間は10200日であった。試験結果、主な2次生成鉱物は方沸石(analcime)であり、温度やpHが高く、反応期間が長いほど、その生成量は多く、粒径も大きくなる傾向を示した。この方沸石の生成量は、X線粉末回折分析手法により定量化を試みた。方沸石の定量化の結果、その生成量は次の順序を示した。モンモリロナイトと長石混合試験モンモリロナイト試験モンモリロナイトと石英混合試験この他に、走査型電子顕微鏡観察を行った結果、X線粉末回折分析データからは検出できなかった方沸石の結晶が観察された。また、定量化のデータを利用して、各試験においての方沸石の活性化エネルギー(kJ/mol)を求めてみた。・モンモリロナイト試験での方沸石の活性化エネルギー:54.9kJ/mol・モンモリロナイトと長石混合試験での方沸石の活性化エネルギー:51.9kJ/mol・モンモリロナイトと石英混合試験での方沸石の活性化エネルギー:59.6kJ/mol以上の結果より、ベントナイトに珪砂を混合させることや、周辺岩盤や緩衝材中の長石の存在などによる高pH溶液の変質影響を推定できる。
鈴木 覚; 間中 光雄; 森田 光男*
JNC TN8400 2000-020, 25 Pages, 2000/04
高レベル放射性廃棄物の地層処分における多重バリアシステムで、圧縮ベントナイトには放射性核種の移行遅延効果が求められており、そのメカニズムの解明が急務である。圧縮ベントナイト中の放射性核種は、構成鉱物の粒子間間隙水や粘土鉱物(モンモリロナイト)の層間水を主な移行経路として拡散する。ベントナイト中の核種の見かけの拡散係数の活性化エネルギーが自由水中のそれに比べて高いという報告があり、これは間隙水や層間水の構造・粘性が自由水とは異なるためであると考えられている。この研究では、含水したベントナイトについてラマン分光測定を行ない、自由水とベントナイトの間隙水の構造の違いについて検討した。クニピアF(モンモリロナイト含有率9899重量%、クニミネ工業)とイオン交換水を任意の含水率(9875重量%)で混合した。混合物を超音波洗浄機で振とうした後、2ヶ月程度静置し、イオン交換水混合試料について5条件(含水率98、95、90、80、75重量%)およびNaCl水溶液混合試料について2条件(80、75重量%)についてラマン分光測定を行なった。また、あわせてイオン交換水、0.5M NaCl水溶液および乾燥状態のクニピアF(相対湿度25RH%)の測定も行なった。ラマン測定は反射モードで行ない、測定時の温度は室温で2426であった。測定の際には試料からの蛍光の低減に注意したが、除去できなかった蛍光についてはベースライン補正を行ない、24004000cm-1の領域でラマンスペクトルを得た。イオン交換水は約3250、3400、3630cm-1にラマン散乱の極大ピークを持ち、3400cm-1のピーク強度が相対的に大きい。複数のピークの存在は、水分子間の複数の水素結合状態があることを示しており、低い波数のピークほど強い水素結合に帰属される。含水したベントナイトのラマンスペクトルは約32003250、3400、3630cm-1にピークがあり、含水率の低下に伴い、3400cm-1に比べ32003250cm-1のピークが相対的に増加している。また、乾燥したクニピアFのスペクトル(dry)は層間水によるもので、3150cm-1のピークが著しく大きい。NaCl水溶液を含水させた試料でも、含水率の低下に伴う、3250cm-1のピークの相対的な増加が認められた。これらのピークは、イオン交換水と同様に
蔵元 英一*; 阿部 博信*; 大沢 一人*; 竹中 稔*; 長谷川 信; 平野 耕一郎
JNC TY9400 2000-007, 50 Pages, 2000/03
本報告書は、九州大学応用力学研究所と核燃料サイクル機構が、「原子力関連材料の電子線照射効果に関する基礎研究」に関して、共同で実施した研究成果をとりまとめたものである。本研究の目的は、原子炉中性子などの照射環境下で使用される原子力関連材料(鉄銅合金他)の特性変化の基礎過程を明らかにするために、これらの材料に対する電子線照射効果を実験的手法および計算機シミュレーションなどを通してその基礎的側面から解明していくことである。高純度の鉄中における照射欠陥と銅原子の相互作用に関して、電気抵抗測定、陽電子消滅寿命測定などからそのミクロ過程に関する情報が得られた。すなわち照射で導入された原子空孔、格子間原子と強い相互作用を有して等時焼鈍回復過程に大きな影響を与えることが判明した。このことは銅原子の照射促進析出に繋がるものとして重要な結果である。また、種々の欠陥集合体に関する計算機シミュレーションをモデル結晶中で行い、その原子構造、動的挙動、転位との相互作用などに関する情報が得られた。格子間原子の微小集合体はサイズの増大とともに転位ループとしての性質をもち、移動の活性化エネルギーも低いなどの結果が得られた。また、今後の課題も明らかにした。
宮田 定次郎*; 高田 準一; 井田 正明*; 中吉 直隆*; 小池 忠雄; 塚本 導雄; 渡邊 浩二*; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 2000-035, p.64 - 0, 2000/03
硝酸によるピューレックス溶媒(TBP,n-ドデカン)の熱分解の反応特性及び反応機構を明らかにするため、示差走査熱量計(DSC)、加速速度熱量計(ARC)等の熱分析装置並びにガスクロマトグラフ(GS)及びガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)等の分析装置による各種検討を行った。その結果、ステンレス製の密封セルを用いた硝酸配位の30%TBP/70%ドデカン混合溶媒のDSC測定では、約170と約320に極大となる発熱ピークが得られ、前者は硝酸と溶媒及びTBPの脱アルキル化により生成した硝酸ブチルとの反応におもに起因し、後者は硝酸とドデカンとの反応により生成したニトロドデカン自身の熱分解に起因することなどを明らかにするとともに、ARCによる検討では、硝酸とTBPとの反応及び硝酸n-ブチル自身の熱分解の活性化エネルギーがそれぞれ123.2及び152.5kJ/molであることなどを明らかにした。また、得られた結果に基づき、本反応の反応機構を推論した。
大橋 弘士*; 佐藤 正知*; 小崎 完*
JNC TJ8400 2000-018, 79 Pages, 2000/02
地層処分の安全評価のための基礎的研究として、粘土緩衝材中の核種の拡散挙動およびオーバーパックの腐食に関連した研究を行った。緩衝材中の核種の移行挙動に関する研究では、ベントナイトの主たる構成鉱物であるモンモリロナイトに対して、水で飽和した状態の圧密試料の底面間隔ならびに含水率を求めた。また、Na+、Sr2+、Cs+、Cl-イオンの見かけの拡散係数およびそれらの活性化エネルギーを異なった乾燥密度において決定した。得られた活性化エネルギーは乾燥密度の増加とともに増加する傾向を示した。これは、圧密モンモリロナイト試料中のイオンの拡散機構が乾燥密度の増加にともなって変化していることを示唆している。ここでは、これらの活性化エネルギーの変化を合理的に説明するために、支配的な拡散プロセスが乾燥密度の増加によって細孔拡散から表面拡散へ、さらに表面拡散から層間拡散へと移り変わるとした複合的な拡散モデルを提案した。Na型モンモリロナイトは、粘土緩衝材に地下水やセメント構造材などからもたらされたCa2+イオンとイオン交換することによって変質することが考えられる。この変質がイオンの拡散挙動に及ぼす影響を評価することによって変質することが考えられる。この変質がイオンの拡散挙動に及ぼす影響を評価するため、Na/Ca混在型モンモリロナイト中でのNa+およびCs+イオンの見かけの拡散係数とそれらの活性化エネルギーを調べた。その結果、Ca型化によるベントナイトの変質は、Na+およびCs+イオンの見かけの拡散係数ならびに拡散の活性化エネルギーに影響を及ぼすことが明らかとなった。こうした影響は、細孔拡散のみでは説明できず、複合拡散モデルによってもっとも合理的に説明されることが示唆された。ベントナイト中でのオーバーパックの腐食挙動を理解するため、ベントナイト中に存在する黄鉄鉱の乾燥中の酸化挙動を調べた。ベントナイトの乾燥に伴って、ベントナイト中の黄鉄鉱量の減少、ベントナイト懸濁液のpHの低下ならびに硫酸イオン濃度の増加が認められた。これは、乾燥中において黄鉄鉱の酸化が徐々に進行することを示している。一方、ベントナイトの乾燥時間の増加に伴い、ベントナイト中の鉄の平均腐食速度ならびに腐食生成物の見かけの拡散係数が増加することが明らかになった。これらは、黄鉄鉱の酸化に伴うpHの低下に起因していると考えられる。
宮田 定次郎; 高田 準一; 井田 正明*; 中吉 直隆*; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 99-039, 70 Pages, 1999/05
溶媒及び劣化溶媒と硝酸との反応の反応特性及び発熱特性に関する情報収集を目的として、純粋な溶媒並びに熱化学的及び放射化学的に劣化させた溶媒を用いて、密封セル示差走査熱量計(SC-DSC)及び加速速度熱量計(ARC)による熱分析試験、並びに密閉容器(内容量3.0 )による熱分解試験を実施し、以下に述べる結果を得た。硝酸飽和溶媒、100%TBP溶媒(100%TBP/~2.7M HNO)及びドデカン含有溶媒(30%TBP/70%n-ドデカン/~0.8M HNO)は、約170Cと約210Cに極大を有する発熱ピークを与え、前者のピークは溶媒と硝酸との反応に起因し、その活性化エネルギーと頻度因子は124kJ/mol及び8.410secである。硝酸水溶液共存下での、密閉系における硝酸による溶媒の急激熱分解の開始温度は、開放系の場合とほぼ等しく140C以上である。過濃縮したCe(NO)含有硝酸配位溶媒は約180C以上で急激に熱分解する。ドデカノン、n-ブタノール、硝酸n-ブチル等の溶媒劣化物は約80C以下で硝酸と発熱的に反応する。
森田 洋右; 八木 敏明; 池原 潤一郎*
電気学会誘電・絶縁材料研究会資料; DEI-99-13, p.27 - 30, 1999/02
原子炉用電線ケーブル絶縁材の放射線と熱劣化を発生ガス分析及び酸素消費量から解析した。この結果、100C以下の低い温度領域での劣化の活性化エネルギーを精度よく求めることができた。活性化エネルギーは14~20kcal/molであり、従来知られていたものより低い値を示した。
大橋 弘士*; 佐藤 正和*; 小崎 完*
PNC TJ1600 98-001, 43 Pages, 1998/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分のための基礎研究として、圧縮ベントナイト中のイオンの拡散に関する研究を行った。圧密し水で飽和したNa型モンモリロナイト試料の底面間隔をX線回析によって求めた。乾燥密度1.01.3Mgm-3の試料では層間に3水分子層のみが、乾燥密度1.6Mgm-3以上の試料では層間に2水分子層のみが認められたのに対し、乾燥密度1.4および1.5Mgm-3の試料では層間に2および3水分子層の両方が認められた。また、乾燥密度0.9Mgm-3以下の試料では、3水分子以下の層間は認められなかった。一方、試料の含水率から平均の層間距離を推定し、X線回析によって求めた値と比較した。その結果、低乾燥密度では層間に3水分子層以上の水を含んだ比較的大きな空間あるいは細孔が存在しうるのに対し、高乾燥密度ではほとんどの水が層間にあると考えられた。Na+、Sr2+、Cs+、Cl-イオンの見かけの拡散係数を決定した。細孔拡散モデルに従って、得られたCl-イオンの見かけの拡散係数からモンモリナイト試料の形状因子を、Na+、Sr2+、Cs+イオンの見かけの拡散係数から収着係数をそれぞれ求めた。各イオンの収着係数は異なった乾燥密度依存性を示し、この原因として間隙水中以外の拡散の寄与が考えられた。見かけの拡散係数の温度依存性より求めた拡散の活性化エネルギーは、各イオンとも高乾燥密度試料において低乾燥密度試料より大きな値を示すとともに、一部を除いて自由水中のイオンの拡散の活性化エネルギーと異なった値となった。また、それらの乾燥密度依存性は、乾燥密度1.4Mgm-3を境に差が認められた。このような活性化エネルギーの変化は、間隙水中のイオン濃度の変化、収着エネルギーの変化では説明できないものであり、乾燥密度の増加とともに拡散プロセスが変化していることに起因する可能性が高いと考えられる。特に、高乾燥密度試料中の陽イオンの拡散では、細孔拡散よりはモンモリロナイト外表面あるいは層間の拡散が支配的であることが強く示唆された。
武田 哲明; 岩月 仁*; 小川 益郎
日本機械学会第6回動力・エネルギー技術シンポジウム'98講演論文集, p.90 - 95, 1998/00
本研究では、HTTRの中間熱交換器伝熱管やその熱利用系として接続する水素製造システムの水蒸気改質器反応管の候補材料である高温耐熱合金の水素透過係数を取得するために水素透過試験装置を製作し、試験管温度(600C~850C)、試験管内水素分圧(10Pa~4kPa)をパラメータとして、ハステロイXRの水素透過係数(活性化エネルギー及び前指数部)を求めた。試験で得られた水素透過に対する活性化エネルギーの値は、これまでに報告されているハステロイXの値と一致した。
岡安 悟; 数又 幸生*
Proc. of 9th Int. Symp. on Superconductivity, 0, p.507 - 510, 1997/00
一連の長時間緩和磁化測定から30MeVのプロトン照射をしたQMG-YBCOの試料と未照射の同試料とで活性化エネルギーがどう変化するかを比較した。照射により核衝突で欠陥が試料中に導入されるとすると、その平均的大きさは直径10程度となる。また照射量110p/cmでは20ppm程度の濃度で欠陥が導入されたことになる。欠陥の濃度はあまり大きくないが、臨界電流密度及び磁束の活性化エネルギーは、20~70Kの温度範囲、~10A/cmの電流値で著しい改善がみられた。Maleyの式を用いて活性化エネルギーのJ依存性を調べると、照射、未照射どちらの場合もJのべきで表わされる。未照射の試料では全てのJの領域でJの依存性であるが、プロトン照射した試料ではJ~310A/cmのあたりを境にJのべきが-2.5(高いJの領域)から-0.8(低いJの領域)へと変化する。
not registered
PNC TJ1600 96-004, 78 Pages, 1996/03
表層土壌圏における核種動態等をより正確に理解するために、まず土壌を構成する粘土鉱物の構造を理解し、土壌圏における核種動態の媒体である水の熱力学的性質を明らかにした。土壌鉱物としてナトリウムモンモリロナイトを対象とし、この中での水の相対部分モルギブス自由エネルギー、エンタルピーおよびエントロピーを含水率の関数として決定し、X線回折の結果と合わせて、土壌中の水の存在形態を決定した。土壌中の水の存在形態は土壌の含水率に依存して変化した。モンモリロナイトにおいては、層間の1層の水和は0ないし16重量%の含水率の範囲で起こり、2層の水和は16ないし27重量%の範囲で、また3層の水和は27重量%以上の含水率で起こった。間隙水は第3の領域にのみ共存した。次に、表層土壌圏に普遍的に存在する天然有機物のフミン酸がストロンチウムの分配に与える影響を検討した。Srのフミン酸錯体がSrHAとSr(HA)2であることを実験によって特定し、それらの安定度定数と熱力学関数を決定し、その結果を基に錯形成の機構を考察した。また、カオリナイトに対するストロンチウムの分配に対するフミン酸の影響を検討した。カオリナイトに対するストロンチウムの分配に対してフミン酸の影響は40ppm以上のフミン酸濃度で見出され、40ppm以上ではフミン酸濃度が高くなるほどSrの分配係数が低下した。また、この影響はpHが高くなるほど顕著であった。最後に、土壌圏における放射性核種の移行挙動の評価のための基礎研究の一環として、圧密ナトリウムモンモリロナイト中のナトリウム、セシウムおよびストロンチウムの見かけの拡散係数とその活性化エネルギーを決定した。
岡安 悟; 数又 幸生*
Czechoslovak Journal of Physics, 46(SUPPL.S3), p.1645 - 1646, 1996/00
OMG法で作製した酸化物超伝導体YBCOに16MeVのプロトンを照射し、磁束のピンニング特性の改善について調べた。磁化の長時間緩和の測定から磁束の活性化エネルギーを求めたところ、U(J/Jc)[1-(T/Tx)]・Hの形で表わされることがわかった。照射量に対する変化は510ions/cmまでは活性化エネルギー及び臨界電流密度は増大し、ピン止め特性は改善されるが、110まで照射すると、それらの変化は小さくなる。また活性化エネルギーの温度依存関数が、Jのべきから指数関数的に変化することを見い出した。
八木 敏明; 森田 洋右; 瀬口 忠男; 池原 潤一郎*
電気学会誘電・絶縁材料研究会資料; DEI-94-90, 0, p.21 - 28, 1994/12
EPR、XLPE、PVC及びハイパロンについて、化学発光分析により放射線酸化後の熱酸化速度の温度依存性を調べた。放射線酸化で生成される過酸化物の分解で化学発光は増大するが、室温で長時間放置するか、真空中高温で短時間処理すると消滅する。この消滅の過程で材料の劣化は加速されないことがわかった。放射線酸化を行うとその後の熱酸化は加速されるが、試験した4種類の絶縁材料では高温から室温付近まで、熱酸化の活性化エネルギーが変わらず、55~60kJ/molの値を得た。
岡安 悟; 数又 幸生; 田中 功*; 児島 弛直*
Physica B; Condensed Matter, 194-196, p.1881 - 1882, 1994/00
被引用回数:4 パーセンタイル:34.36(Physics, Condensed Matter)酸化物超伝導体LaSrCuO単結晶に電子線を照射して超伝導特性の変化を比べた。照射により約100ppmの点状欠陥が試料中に導入された。非可逆曲線及びヒステリシスの測定から、この照射はCuO面間に流れる超伝導電流を減らしていることがわかった。また、磁束クリープによる活性化エネルギーはg(T)lnJに比例していることがわかった。ここでg(T)は(1-T/Tc)という関数である。
岡安 悟; 数又 幸生; 田中 功*; 兒嶋 弘直*
Superconductors, Surfaces and Superlattices (Trans. of Materials Research Soc. Jpn., Vol. 19A), 0, p.421 - 424, 1994/00
LaSrCuO単結晶に3MeVの電子線を210e/cm照射した。照射は室温、空気中で行った。この照射でおよそ100ppmの点状欠陥が結晶中に導入された。超伝導転移温度は36Kで照射によっても変化しなかった。照射前後で磁化の時間変化をSQUI-D磁化測定装置を用いて測定した。これらの緩和率を用いて、実効的な活性化エネルギーを臨界電流密度の関数として求めた。照射前後どちらのデータも活性化エネルギーは同じlnJの依存性を持っていて、U(J,H)=const.g(T)ln(J/Jc)/Hの形で表される。ここでg(T)は(1-T/Tc)で表される。nは別の非可逆曲線の測定で求めたべきを用いる。
八木 敏明; 森田 洋右; 瀬口 忠男
DEI-93-155, p.19 - 26, 1993/12
添加剤の種類を変えたエチレンプロピレンゴム(EPR)を用い、放射線酸化後における熱酸化速度の温度依存性を化学発光分析により調べるとともに、添加剤(特に酸化防止剤)の化学発光への影響を調べた。多環状芳香族系の酸化剤は酸化防止作用とは無関係に化学発光を著しく増感させ、特に長波長側の発光を誘発させることが分かった。これはEPRの酸化で生成される、カルボニルの励起エネルギーが添加剤に移動しているものと推定された。化学発光の活性化エネルギーは添加剤の種類にさほど依存せず、50~60KJ/molであることが確かめられた。このことから化学発光分析法を用いることにより、実用環境での酸化劣化速度を推定する見通しを得た。